ビジネス数字力を鍛える本。ビジネスで使うデータを、グラフ化や回帰分析で読み解く。
本の情報
タイトル | 定量分析の教科書 |
著者 | グロービス経営大学院 |
執筆 | 鈴木健一 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
発行年 | 2016年 |
定価 | 2,600円(税別) |
ページ数 | 259ページ |
要約 & ポイント
- 分析とは比較である
- 条件を揃えて比較することで因果関係を明確にする
- 分析の進め方は仮説思考で対象のデータを意図的に選ぶ
- 目的→仮説→データ収集→検証
- データには、既にあるものと、作るものがある
- 分析の視点、何に着目するか
- インパクトの大きさ、差異(ギャップ)、変化(トレンド)、分布(偏り)、法則(パレートの法則)
- 目は最高の分析ツール
- グラフで比較してみる
- 棒グラフ(パレート)、線グラフ(時系列)、ヒストグラム、円グラフ、散布図
- ポイント1:目的に応じて適切なグラフを使用する
- ポイント2:時系列グラフからは、傾向、周期性、季節性、不規則性を読み解く
- ポイント3:散布図からは因果関係を推し量る
- 数字で比較してみる
- 平均値、中央値、最頻値
- ポイント1:平均値は外れ値に弱い
- ポイント2:釣鐘状に分布していない(偏りがある)場合は、中央値を検討
- 分散、標準偏差
- 標準偏差で平均値からのばらつきを知る
- 2SDで95.4%が分布 (SD:68.3%, 3SD:99.7%)
- 平均値、中央値、最頻値
- 数式で見てみる
- 相関関係、相関係数R、決定係数R2
- ポイント1:相関係数で、2つの変数間の共変性を確認できる。
- ポイント2:しかし、相関だけでは因果は分からない
- 単回帰分析、重回帰分析
- xの値の変化に対して、yの値が予測できるようになる。
- ポイント:変数間の相関に気を付ける(多重共線性、変数の因果関係)
→相関があるとyが意図しない値になることがある
- 相関関係、相関係数R、決定係数R2
感想
データの分析の目的、手順、着目点、方法(グラフ化、数値化、数式化)が一通り学べる本であった。
データの分析の手順や着目点については、特に最近はビッグデータでデータが大量であるため、目的意識無く分析することは現実的でなく、目的や仮説を持ってデータを見ることが重要であるということも納得感を持って理解できる。
そしてグラフ化や回帰分析については、グラフ化や回帰分析で、データを分析して初めて、そのデータが持つ意味を解釈できるようになるということが理解できる。また、グラフは目的やメッセージに合わせて適切なグラフを選ぶ必要があるということを考えたことが無かったのでとても勉強になった。いままで何も考えずに円グラフを書いたことがあったが反省しなくては…
全体的に、罠にはまりやすいポイントを丁寧に説明されていたことが良かった。
例えば、相関関係と因果関係の違いや、回帰分析における変数間の因果関係がある場合の注意点など。
各章に、巻末演習があるため、実用シーンをイメージしながら、理解を深めることができた。
おすすめ
【おすすめ度】 ★★★★★
【こういうときに】 初めて統計学を勉強するときや、ビジネス寄りのデータを分析しなければならないとき
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